myurome’s diary from Italy

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トッリジャーニ庭園

ボンジョルノ!フィレンツェのガイドの伊藤裕紀子です。

 

イタリアではA.D.S.I(Associazione Dimore Storiche Italiane)という組織が、歴史的建造物(現在は個人の邸宅や庭園)の無料見学デーを設けており、今年は10月4日でした。

 

このプログラムに参加して、フィレンツェのトッリジャーニ庭園を見学してきましたので、今日はその様子をお伝えします。

 

この庭園はフィレンツェの市壁の南側に接する、19世紀に造られたロマン主義スタイルの庭です。

 

ルドヴィーコ・マリア・トッリジャーニ枢機卿がひ孫のピエトロ・トッリジャーニ侯爵に遺産として渡した土地に造成されました。

プロジェクトはフィレンツェ生まれの建築家Luigi de Cambray Dignyによります。ルイージの後を継いだ若きGaetano Baccaniによって完成されました。

 

 

フィレンツェの代表的なイタリア式庭園(テラスや人工物を使った幾何学式庭園)ではなく、自然な景観美を追求したイギリス式庭園となっています。

またピエトロ・トッリジャーニがフリーメーソンのメンバーであったため、そのシンボルも挿入されています。

10ヘクタールもある広大な土地は昼のゾーン(広く明るい草原)と夜のゾーン(人工的な丘の上の森)に分かれています。

 

 

平地の向こうに見えるのは三つ星ホテルAdAstra、ここに泊まって2階テラスから庭を見下ろすのも良さそうですね。

 

見学コースでは近寄ることができませんでしたが、この平野の中央には彫刻家ピオ・フェーディ作「セネカと若きピエトロ・トッリジャーニ」の像があります。

 

それ以外の苔むした彫刻作品もロマンチックな雰囲気を醸し出しています。

 

 

そしてこの庭園で最も有名なのがバッカーニによって造られた塔です。

三層に分かれた塔は俗世からフリーメーソンの世界への昇華を表現しているそうで、係員の方が「上の階が円筒形になっているのは、円が完璧のシンボルだから」と説明していました。

 

 

建築当初は塔の中に図書館や天文学の器具を保管する部屋があり、頂上では天体観測ができるようになっていたとか。

 

また庭の一部は植木屋として使用されていて、ヴェッキオ宮殿(フィレンツェ市庁舎)の式典などに貸し出されるそうです。

 

 

石畳の道から一歩入った場所にこのような広大な庭があることにまず驚きました。気持ち良い秋の散策もできて、まだまだフィレンツェの魅力は奥深いなと感じられた1日でした。