myurome’s diary from Italy

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Uffizi美術館でふと見逃してしまう作品 3

今日はフラアンジェリコが描いた(テーベ地方隠者達)をご紹介したいと思います。
この絵の作者については色々な説があり、私がイタリアに来て最初に買った1500リラの(現在の8ユーロ弱)ウッフィッイ美術館のカタログでは、ゲラルド・スタルニナの作品となっていました。

1420年頃の作品で、現在はフラアンジェリコの絵として断定されています。

Uffizi美術館でこの絵だけ床から65センチの高さ、低い所に飾られています。

理由は、すごく魅力的な絵でおとぎ話のような絵の為、特に子供に人気があり、子供の目線で見れるように飾ってあるからなんです。

この作品は紀元4世紀に、聖パコミアがエジプトのテーベ地方に創立した場所で、隠居し修行を行う修道士の生活を描いたものです。

祈りと孤独、労働で一生を過ごしていました。


どこからともなく射す月の光に照らし出された夜景は、少し神秘的です。

この岩だらけの景色の中で、修道士や隠者の毎日の生活が描かれています。
当時、このテーマはよく描かれ、アカデミア美術館にもウッチェッロが描いた絵があります。

ここでは自然が食糧を与え、他の世界から隔離して平和に過ごしているという事ですが、よく見ると不思議な生活やいろいろな動物を見つけることが出来ます。

1人の修道士は、木のへこみに住んでいます。
また聖ベネディクは洞窟に住んでいますが、誰かが上から食事をかごで運んでいます。
またライオンの車に引かれた人。その右には小さな柵があって、他の人との境界が区切って在り、手前では仕事、奥では静けさにふけっている様子が描かれていますが、これは活動的な人生と、瞑想的な人生を表現していると言われています。
そのすぐ右では男が荷を載せたロバを扉の方に押していて、その上には懺悔の礼拝堂で告知を聞く修道士、その上では天使を見た恍惚状態の修道士、などなどです。

 


川にはクロコダイルもいて、カラスが口からパンを落としていて、それを聖パウロとアントニオが分けていたり、他にもヤギが乳を搾らています。

ここには日常生活が沢山描かれてる訳ですが、これはフラアンジェリコの「人間と動物の関係」についてのメッセージでもあると思われます。

孤独や祈りは必要であるけれども、お互いに助け合い、「自然をリスペクトしなさい」ということです。

船が小さかったり、建物が小さくて修道士が入れない建物もありますが、実際の景色と似ています。
作者はすべての細部までを描き、毎日の生活、木の葉、石ころ、波などリアルな景色を表現しています。

 

写真では細かい所がわからないのですが、是非Uffizi美術館に来られた時は近くで見てください!