myurome’s diary from Italy

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フィレンツェの街を歩いていてふと目につくもの

皆さんこんにちは!フィレンツェ公認ガイドの福島久子です。

 

フィレンツェの街を歩いていると時々、「これは何なんだろう」というものに出くわします。これもその一つです。

 

フィレンツェの歴史中心区のいくつかの建物の壁に、昔、道を通る人達にワインを売っていた小さな窓口のようなものが未だに残っています。何世紀もたってこの窓口は使われなくなり、閉まってしまったり、壁でとじられたり、修復の時に見えなくなってしまいした。

 

 

貴族館で直接ワインを販売するようになったのは16世紀くらいです。中世、ルネッサンス時代に商業は栄えましたが、このころになると商業が下向きになっていきます、そうすると貴族たちは農業にも従事するようになり、大土地所有者になります。そしてワイン造りも始めます。

 

この窓口は仲介者を通さずに、直接道行く人達にワインを売る為に作られ、家族商売という事で無税だったので、買う人も他で買うより安く買えた為重宝したようです。ただ売るだけでなく、困っている人達に食事やワインを提供していました。この窓口が小さくて割と低い位置にあるのは、わざと顔が見えないようにしていたからとも言われているようです。

 

 

この窓口後ろには酒蔵があって、ここにはいつもワイン係がいてワインを注ぎ、販売していたそうです。大体このようなアーチ型をしている形で、上には石碑があり、販売時間なども書いてあるものもあります。色々見ていくとちょっとずつ形も違います。これはそれぞれの家族の趣味の違いのようです。フィレンツェには170の窓口があり、歴史地区だけでも145あるそうですが、何世紀にもわたって閉まったままだったのです。

 

しかし最近になってロックダウンが終わってすぐ、コロナ対策として、このワイン販売口がいくつか復活して、夕方決まった時間だけですがSanto Spirito通りのBarにも復活しました!

 

1634年すでにこのワイン販売口がペスト対策として使われていたということなので、現在のコロナ対策と同じだったんですね。